鏡味洋史先生の瑞宝中綬章受賞のお祝い

山中浩明(昭和60年修士修了/東京科学大学教授)

 2024年秋の叙勲において、鏡味洋史先生が瑞宝中綬章を受章されました。同じ研究室一門の筆者から、皆様にご報告させていただくとともに、鏡味先生の多くの研究業績の一端をご紹介いたします。

 鏡味洋史先生は、昭和41年東京工業大学建築学科を卒業後、同年同大助手に採用され、昭和49年北海道大学工学部助手に転任し、昭和52年北海道大学建築学科講師、昭和54年助教授、平成2年教授となられました。平成19年には北海道大学を定年退職され、同大名誉教授の称号を授与されておられます。

 鏡味先生は、本学の小林啓美先生の研究室において建物と地盤での重複反射に関する研究を行い、昭和52年に「地盤の構成にもとづくサイスミック・マイクロゾーニングに関する研究」によって工学博士を取得されました。当時、工学分野では先駆的かつ実証的な地盤震動研究であり、その成果は自治体の被害想定にも活用され、サイスミック・マイクロゾーニングにおける地震動評価の基本的な考え方となっています。北大に転出した後は、地盤震動研究だけでなく、様々な先生方との共同研究によって、独創的なアイデアに基づく多様な地震防災研究を展開されました。これらの一連の研究の功績に対し、昭和63年に「地盤の動特性に基づく地震入力に関する研究」によって日本建築学会賞を受賞されました。さらに、先生は国内外の多くの地震被害調査を実施しており、1993年インド・マハラシュトラ地震、1999年コロンビア中西部地震などの調査研究では代表者として調査全体を統括されておられます。

 鏡味先生は、研究成果の社会への貢献にも熱心であり、日本建築学会振動運営委員会、地盤震動小委員会、災害委員会などの委員を歴任され、日本自然災害学会副会長や京都大学防災研究所自然災害研究協議会議長を務めるなど、防災科学研究の取りまとめにも貢献されています。さらに、北海道庁、札幌市などの多くの防災関係専門会議の委員長、委員も務められています。

 鏡味先生は、定年退職後も歴史地震の資料を多面的に読み解いていく文献調査研究を継続されています。地方を訪れ、埋もれた資料を発掘して、それらを地震工学的に解釈をしていく地道な研究を行っています。再発見された貴重なデータは、最近の地震防災研究や防災対策にも活用されています。鏡味先生は、趣味の旅行のついでにできることをやっているだけとおっしゃっていましたが、先生の果てない研究への興味は今も大きく広がっています。

 今回の受章を皆様とお祝いし、鏡味先生のますますのご健勝と一層のご活躍を祈念いたしたいと思います。